エデンの東にピクニック 2

君と僕とでピクニック。荒廃世界をピクニック。
サンドイッチと水筒とお菓子を持って。
飲み物はコーラでなく、紅茶でもなく、とびきり苦い珈琲を。
すぐさま目が覚めるほど、とびきり苦い一杯を。




明けましておめでとうございます。松閣オルタ2015でございます。

新年になって2日目ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。いやー俺はヒマです。ゴロゴロしすぎで太るわこれ。

皆さんは初夢とか見ました？　

俺なんかは「初夢見たかなぁ」と考えた時、「ん、まてよ。今が夢の中なんじゃないか？」という疑いを持ってしまいます。
「おいおい、また松閣さんが頭悪いこと言い出したぞ……。誰か警察を呼べ！　あと彼のために弁護士も！」
とお考えになったかもしれません。

いやいやお待ちなさい、浅はかな人の子よ。
世の中には『水槽の脳』という仮説がありましてですね、じつは我々が知覚してるこの世界はバーチャルリアリティなのではないかという話です。
我々は水槽の中に脳髄だけ入れられて、脳に直接繋がれたハーネスの電気刺激によって、まるで自分たちの実体が存在しているかのように感じているだけという。

『我々』という括り方には問題があるかもっすね。いまコレを読んでいるアナタが水槽脳だった場合、この松閣が書いた文というのも、電気刺激で得られた幻にすぎない。もちろん俺だけでなく、アナタの家族や友人もコンピューターが用意した架空の者かもしれない。
こう考えると、初夢というのは実にメタなモノで、『水槽の中で脳が見ている仮想現実を元に作られた幻想の中の幻想』という話になっちゃう。

なんだか怖いっすよね。

アナタはいまこのブログを「松閣が書いた文」と知覚して読んでいる。でも実際には松閣オルタなる者は存在せず、全ては幻。もちろんアナタの家族や友人、恋人も。
テレビの向こう、あるいは目の前で起こる出来事のすべても、アナタの水槽を管理するコンピューターにより、アナタの反応を観察するために作り上げた架空の出来事かも知れない、

「ご冗談でしょう松閣さん。　私を水槽の脳にして、なんの意味があるというのです」


アナタはこう思うかも知れない。
じゃあ、適当に想像してみましょう。
ときは西暦5000年ごろ、宇宙人がやってくる。地球は荒廃し、豊かな自然環境は残っておらず、総人口にして1000万人ほどの地球人類種が各地にコミューンを作り原始的な生活を送っている。
宇宙人は思うわけだ。
「あれほど完全だった地球の循環環境を破壊するなんて、人間というヤツはなんと恐ろしく破壊的な生き物だろうか。知的生命体と買いかぶっていたが、そうではないのかな？　ではなぜ知的生物が地球を破壊するに至ったのか、実験してみよう。水槽の中に脳髄を入れて、さまざまな情報刺激を与えてみよう。彼らが個々にどのように考え、どのように行動するか、どう反応するかを見れば、地球荒廃の原因が掴めるかも知れない」

と。
つまりアナタを取り巻いてるストレスの全てがテストかも知れないワケです。
成功も挫折も、幸福も不幸も、全ては行動観察のためのテスト。

怖いですね。怖いでしょう？

でも、1つだけ言っておけば、俺は宇宙人にあなた方を売り渡した内通者ですので、俺の言うことは信用して良いですよ。
いまこの文章は、ウチュー野郎たちには内緒で、実験設備から直接アナタの脳に送り込んでいるわけです。

だから、辛くなったら俺に言って下さい。俺に出来る範囲でちょっとだけ楽にして差し上げましょう。
そして、俺はいつかアナタを連れて脱走出来るよう段取りを進めておきます。

いつかこの状況から抜けだして、荒れ地でも、極寒の世界でも、地球人類種の黄金時代をもう一度……。
もう一度、最初の一歩から……。エデンの園はもうないけれど。

という初夢を見た。