驚異的に雪が降る。
先週に続いて凄い雪。
おれ、雪好きなんで、無理やりに出社した。会社はなんだか、出勤してる人もまばらでいつもと雰囲気が違う。雪マジックか。なんだか、楽しい。
でも、途中で帰宅命令が出る。
まさか!
まさかそんな!
残り、13時間近く(残業含む)もある勤務時間がチャラになるなんて!
俺たちは声を上げた。俺たちが勝ち取ったモノ……それは余りにも小さい戦果だったかも知れない。だが、俺たちは声を上げた、ますます大きな声で。
我々は自由だ。当たり前のモノを、我々はようやく取り戻したのだ。
もうね、こんなに嬉しいことはない。
俺、雪が大好きだ。
もうね、降るモノは何でも好き。
雪でも、雨でも、あられもみぞれも。女は俺を「ふる」から怖いですが。
ともかく、俺は嬉しくて仕方がなかった。
もうね、この喜びをどうにかして表現したいので、こうだ。
しかし、喜んでばかりもいられない。
「帰れなくなるから」の帰宅命令で、時は一刻を争うのだ。
タラタラしてる間にも雪は降り積もり、周囲の景色を消してゆく。
急がなければ!
だけど、タラタラしてるヤツは多い。
せっかくの雪で、せっかくの公的な早退ができるというのに! なんというグズ!
そう言う奴にはこうだ。
んで最速で車に乗り込み、エンジンをかけてバックすると……。それっきり動かなくなった。
雪が車の下に噛み込んでタイヤが空転するばかり。へへ、ヤルじゃん、雪。
しっかし、まさか、職場に車を置いて帰るハメになろうとは……。こんなのは生まれて初めての経験だ。
んで、紆余曲折の果てに自宅アパートまで戻ってきたが、ここでも凄い雪。
わかりにくいが、降り積もった雪が膝上まできてます。
こんな日に落とし穴でも作っておいたら効果バツグンだよな……。などと考えながら部屋の前まで戻る。
したら、ドアが開かない。雪のプレッシャーで開かずの戸になってる。
無理やり開ける。
もう、ほんと疲れた。
3時間ぐらい雪の中をさまよってたから、体も冷え切ってる。
頭も凄いことになってた。
頭に雪が積もるって、凄まじいよ。よくも死ななかったモンだ。もし行き倒れて死んだら、雪が溶ける春先まで俺の死体は見つからなかったのかも知れぬ。
んで、車がないので今週末は公的な引きこもり。誰にとがめられることなく引きこもり。
こんなに嬉しいことはない。
雪最高。